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【DIRECTOR’S NOTE】 FOUNDOURの現在地。

Vol.01「袖を通した先に見えてきたもの」

 

20253月にスタートした〈FOUNDOUR〉も、まもなく4シーズン目を迎えます。ディレクターである金子恵治が一貫して続けてきたはずしの美学はそのままに、新しいシーズンではこれまで以上にストレートで、ベーシックなウエアが並びます。手に取れば自然と着こなしが思い浮かぶ、いい意味でのわかりやすさがそこにはある。これまでとは少し違うムードをまとった背景には、どんな思いや変化があったのか。金子との対話を通して、その輪郭に触れていきます。

 

〈FOUNDOUR〉の服に袖を通して見えてきたものがあった。

 

ーブランドのスタートから今季で4シーズン目を迎えますが、まずはこれまでの〈FOUNDOUR〉の道のりを振り返りながら、金子さんの気持ちの変遷を辿りたいなと。

金子:新しいシーズンを迎えてもやっていることは変わらなくて、まずは“発見”から〈FOUNDOUR〉のものづくりはスタートするんです。ヴィンテージをひたすら掘りながら、「これやばい」と思った瞬間にインスピレーションが得られる。そして、デザインはもちろん、生地や縫製、パターン、細かなディテールなどを編集するように服をつくっています。

最初から型数もかなり多くつくったし、やりきった感覚はまだまだないけど、つくる中で見えてきたものもある。実際にぼく自身も〈FOUNDOUR〉の服をよく着るんですけど、「次はこうしたい」という気持ちがどんどん芽生えてくるんですよ。

いまは新しいものをつくるというより、いままでつくったものを見直したいという方向に気持ちがシフトしてますね。つくる料理は同じでも、スパイスを変えてみたり、ちょっと違う調理方法にチャレンジしたくなったというか。

 

ーつくって終わりではなく、しっかりと検証もしてきたということですよね。

金子:そうですね。〈FOUNDOUR〉の服を着ていて「やっぱりいいな」って感じることが多くて。しょっちゅう着る服が結構あるんです。ただ、そこで満足するというよりは、「こうしたら、もっとよくなるかも」って考えちゃうんですよね。

 

 

ー自分がつくったものに対して、愛着と責任を持っている証拠だと思います。

金子:つくっているあいだも10年、20年と着られるものにしようと気持ちを込めているけど、実際にそれができて袖を通してみると、もっともっとよくしたいと思ってしまうんです。

 

ーファーストシーズンからつくり続けているレギュラーカラーシャツも、雰囲気が変わりましたよね。

金子:ナポリ仕立てのシャツを参考にアームホールを手で縫ってもらったり、前立てに閂(カンヌキ)を入れたりとこだわりを相当詰め込んだのですが、ぼく個人の思い入れが強すぎて、ちょっと伝わりづらかったかなと(笑)。職人さんの丁寧な仕事が見える服でしたが、今季はミシンでしっかり縫ってもらって、より安心して着られるものにしたいなと思ったんです。

 

 

ー手縫いによるふわっとした軽やかさは魅力的だけど、一方では脆さもあるということですよね。

金子:洗濯をしてもほつれたりすることはなかったんですけどね。ただ、このシャツに関していえば、洗いを繰り返すことによって出てくる旨味があって。それを今回はわかりやすい形で届けたいなと思ったんです。だからしっかりとウォッシュをかけて、縫い目にパッカリングも出るようにしていて。

 

 

ー金子さんの想いと、それを扱うお店の理解、そしてお客さんの高揚感。三者が気持ちよくなるバランスを今回はうまく取ったと。

金子:〈FOUNDOUR〉の服って、何度も着ることによって理解できる服なんですよね。そういうものづくりを目指していたし、そういう理念でぼくたちもやっていた。だから、なるべく加工とかは避けていたんですよ。自分たちで手をつけずに、お客さんに手をつけて欲しかったから。

ただ、ぼく自身も〈FOUNDOUR〉の服に袖を通して見えてきたものがあった。それで表現方法を変えるのもありだなと思ったんですよ。

 

26AWを象徴する3つのアイテム。

ー新しい〈FOUNDOUR〉の服をいくつか見ていきたいと思います。まずは先ほど話にあったシャツから。

金子:これはマイナーチェンジというより、モデルチェンジした感覚がぼくの中ではありますね(笑)。先ほどの話のとおり、手縫いだった部分もミシンで縫ってもらって、生地はいままでと同じブロード地をつかっていますが、最初から洗いをかけて、プレスもせずにつくっています。

 

COTTON BROAD REGULAR COLOR SHIRT ¥24,200(TAX IN)8月下旬発売予定

 

ーいままではドレスシャツのようなムードがありましたよね。だけど今回は洗いをかけることによって、ドレス由来だけど、カジュアルさが前面に出てきたというか。

金子:縫製糸の番手も太くして、あえてパッカリングが出やすくしているのもポイントですね。だけど運針はかなり細かいので、ドレスの名残がきちんとあるというか。その曖昧なバランスがこのシャツの魅力なんです。展示会でもすごく評判がよかったですね。

 

ーでは続いて、コーデュロイのジャケットですね。これはドリズラーですか?

金子:ミリタリーのスーベニアジャケットがベースになっています。スーベニアジャケットというとベトナムのものを頭に思い浮かべるかもしれませんが、これは台湾のものを参考にしたんです。

 

COTTON CORDUROY ZIP UP BLOUSON ¥66,000(TAX IN)10月下旬発売予定

 

ー珍しいですね。

金子:ただ、その古着は見た目はいいけど、袖を通してみるとファッションとしては着られない。だからパターンを見直して、しっかりと形を整えました。

 

 

ー今回はそれをコーデュロイの生地で仕立てたんですね。

金子:一見するとトラッドなアイテムに見えるけど、由来はミリタリーというのがおもしろい捻りになっているかなと。生地は中畝のコーデュロイを使用して、バイオウォッシュをかけることによって、ちょっと色落ちしたような雰囲気になってますね。だから最初から馴染みやすくなっているんです。そこから着込むことによって、そのひとらしいシワがつくといいなと想像しながらつくりました。

あとはファスナーもアルミ製で、ちょっとヨレヨレしているのもポイントです。通常のものよりも、こっちのほうが圧倒的に雰囲気がいいので。

 

ーセットアップでも着られるんですよね。

金子:そうですね。同じ生地でタック入りのパンツもつくりました。それがこのあと紹介するパンツと同型なんです。

 

ーでは、そちらのパンツも見ていきましょうか。

金子:これは展示会でいちばん評判のよかったアイテムです。いわゆる2タックのワイドチノで、90年代の往年の感じをイメージしています。

 

COTTON WIDE TUCK CHINOS ¥41,800(TAX IN)9月下旬発売予定

 

ー“ビッグチノ”と呼ばれていたアイテムですか?

金子:そうですね。ビッグチノって、いま考えると全然ビッグでもなくて(笑)。いまって太いパンツがたくさんあるので、それに見慣れていると、あまりビッグに感じないかもしれません。ただ、オーセンティックなチノの中では、割とビッグにつくりました。

 

ーシルエットも良さそうです。

金子:ワイドなパターンにしているので、膨らみが強調されないようにインタックを入れています。タックの分量も控えめが好きなので、穿いたときのシルエットとのバランスを見ながら、可能な限り控えめな分量でつくってますね。

 

 

ー生地はやはり洗いがかかっています。

金子:コットン100%で打ち込みのいい高密度な生地を選びました。これにバイオウォッシュをかけて、雰囲気のあるチノにしたかったんです。色落ちしているけど、しっかりと肉感があるというか。そこにこだわりましたね。

 

ー触ってみると、安心感があるというか、しっかりした生地ですよね。

金子:いつもとはちょっと違う生地の選び方をしたんです。ワイドなシルエットだから、生地がしっかりしていないといい膨らみが出ない。それを考慮しました。縫製箇所に立体感が出ているのもポイントです。

 

着るひとのキャラクターを超えるものづくりはしたくない。

ーこうしてコレクションを眺めていると、以前と比べても、やはり加工が顕著ですね。

金子:いまはすでにもう次のシーズンを考えているんですが、加工だけじゃなくて素材選びも変わってきていますね。もうすこし経年変化が予測しやすいものとか、雰囲気のある生地を選ぶようになっていて。

 

 

ーバイヤーさんやお客さんに伝えられるように。

金子:それももちろんありますし、ぼく自身もすぐにワードローブに馴染む服、はじめから雰囲気のある服が欲しくなってきたというのもあるんです。

 

ー世の中を見ていても、新品のまっさらな服よりは、ある程度加工がされて、すぐに馴染むものが増えていますよね。

金子:古着の人気がずっと続いているし、そうしたことも要因としてはあるように思います。買ってすぐに馴染むとか、雰囲気が出るっていうことが、いますごく求められているように感じるんです。

 

 

ーとはいえ〈FOUNDOUR〉の場合は、ガチガチに加工をするというよりは、「これからいい感じに育っていくんだろうな」と思わせる余白が残されているように思います。

金子:加工の強弱も細かく設定ができるんですが、その線引きは結構難しくて。今季つくったTシャツは、硫化染めしたあとに結構色を落としたんです。ただ、そのあときちんとプレスをして納品をするようにしていて。

 

ー洗いっぱなし、加工しっぱなしではないと。

金子:そうなんです。製品として最後はきちんと整えるっていうことをしたくて。それによって見え方も変わるし、カジュアルだけど、どこか品を感じるようにしたかったんですよ。どのアイテムもアメリカの香りがするんですけど、アメカジブランドにはならないように気をつけていて。

 

 

ーそこに金子さんらしい捻りというか、天邪鬼さを感じます(笑)。

金子:もちろんアメカジが好きですし、たくさんの影響を受けているんですが、その領域には偉大なブランドがたくさんありますよね。だから自分がそこに真正面からチャレンジする必要はないし、ちょっと違うカテゴリーで勝負したいというのがあるんです。

 

ーだからあえて香りを消すというか、灰汁を取る作業も必要なわけですね。

金子:着るひとのキャラクターを超えるようなものづくりはしたくなくて。そっちのほうが長く着られるし、着ていて自分も気持ちがいいことが多い。コーディネートの足し引きを考えるときも、自分が足されないくらいがちょうどいいなと思うんです。

 

 

ーだからこそ、今シーズンはベーシックという地平線からは離れないようにしているのを感じました。いままではもう少し遊び心を感じるものが多かった印象ですが、今シーズンはそうした遊び心を持った少年が、そのまま大人になったようなムードがある。

金子:そうかもしれないですね、大人っぽくなったのかも。いままでは化繊の生地を使って、捻ったことを散々してきましたけど、今回は割と直球にした感じはあって。はずし方をちょっと変えましたね。

 

ーとはいえ、ブランド設立当初から話していた「スタイリングの物語を発見する服づくり」は変わっていないわけですよね。

金子:そうですね。ぼくがつくりたいのはあくまでも“はずし”となる服づくりなので。その気持ちにはまったく変化がないですし、これからもそれは変わらないですね。

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